7 無私の美へ

我を離れる

花に向き合うとき、「」というものは実に厄介です。花本来の澄んだ空気を濁らせ消してしまいます。「いいでしょ !見て」といった我心の花ではなく、花が語りかけてくるような〈見えてくる花〉の美しさを稽古ではお話しています。それには花を慈しみ愛し、自分濃度を薄めて花の声を聴き、他者を心の内に抱えることが大切と。ずっと以前「他者がいない小さな自己へのこだわりは、さっさと自ら蹴飛ばしたらいい」。それは、私を貫いた師の鮮烈な言葉の一撃でした。

8 清浄 →

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