9 野草を育てる

花ごころの種を蒔く

春! 黒い土を割ってツンと出てくる草々の芽生えは、何とも幸せな時の訪れです。再び一年よろしく…の挨拶をします。狭いベランダに置かれた一鉢一鉢に水を与え、日々見守り声をかけるしかできませんが、花たちは静かに生きる営みを繰り返し、毎年美しい姿を見せてくれます。〈私〉という自己意識が強い時代に居ると、物言わず美しく咲き続ける草木の在りように手が合わさります。
『人見るもよし、見ざるもよし、われは咲くなり』(武者小路実篤)

無心に花をいけ終えると、胸のすく思いになります。生徒の方々と共に、〈花なるもの…〉を求め続けていきたいと―希います。

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